モメンタム分析の魅力

理論から実戦へ

仮説モデル図について『600日の続騰と600日の続落で、現実の相場には有り得るか』と笑われた時もある。これを解釈するため、「ナスダックのモメンタム分析」を見ながら検証してみます。

上記のグラフを見ると

  1. 98年9月~2000年9月、ナスダック市場のモメンタムは、ゼロラインの上で推移し、約2年間の上昇相場が上手く捉えた。この間、投資の効率は、プラス2.45倍である(株価:1499.3→3672.8)
  2. 2000年9月~2003年4月まで、モメンタムは、ゼロラインの下で推移し、約2年7ヶ月の下落相場も巧く捉えた。結果的には下落相場において、6割の損失が回避されたことになる (株価:3672.8→1464.3)。

1)現実と仮設図の合致

  1. 上記のグラフは、1998年9月~2003年4月迄、4年7ヶ月であり、約1200日の営業日になる。
  2. 1998年9月の株価が1499pt、2003年4月の株価が1464Ptで、市場の価格は下落したが、資本金が2.45倍に増加した。
  3. 2003年4月の買い信号は、最も暗黒な時期に、【黎明の曙光】として的確に捉えて、再投資の好機が迎えられた。
    上記の三点が概念图と合致している。

2)モメンタム分析の価値

他方、塩漬けになった資金は、そのまま5年間、10年間、20年間ほど置けば、10倍以上のリタンは貰えると考えた人もいるが、実際はこれが大きな間違いである。

  1. この技術を駆使すると、2003年9月に我々の運用資金が2.45倍になったので、仮に今後相場が10000ptになると、我々の利益は、24500ptに相応した資産が得られるものではなかろうか。
  2. 花形産業が時代の前進により、新陳代謝が激しいである。例えば2003年4月から2021年まで、NASDAQ指数は1464㌦⇒15645㌦まで、約10倍も上昇した。しかしこの間、Citigroupは最高値(584㌦)から15ドルまで急落し、その後の戻り高値は約80㌦で、即ち最高値からは86%も下落した(=1-80÷584)。
  3. 振返って見ると、1929年、大恐慌の時代に、NYダウを構成した30銘柄は、全て淘汰された。仮に当時の投資家は、株券を金庫にしまって置くと、今の子孫が金庫を開けて見ると、恐らく紙屑になってしまった。

故に株式の運用は、安値で買い高値で売り、波に伴って、花形産業を追うべきものである。優秀なダンサーは、音符に伴って踊る。優秀な投資家が市場の波に乗って花形産業を追うべきだ有る。これはモメンタム分析の魅力で、その価値は過小評価が、出来ないのではなかろうか。

モメンタム分析はその他の商品も適用

為替レートについて(理論値)

Å点からE点まで、14年の間、USDJPYが124.09円から120.34になった。この間、途転売買により利益が、125.32円になり(=249.41-124.09)、投資効果が100.34%である(=125.32÷124.09×100%)。但し外貨FXのレバレッジは、通常が25倍で、理論的には、100万円を投資すると、市場のリタンは約 2500万(=100万×25 )になる。ハイリターンに伴って、ハイリスクになるため、留意して置きたい。

研究範囲

上記の技法としては、市場が大きいほど、確率が高い。故に留意しておきたいことは、株式市場は単独したものでは無く、連動しているものである。特に米国株式市場の時価総額が、世界の6割も占めている、そのため、激震した場合、その津波が常に世界の隅々まで、波及している。他方世界の富は、米・欧・アジアの三大地域に集中し、これらの地域を絞って俯瞰すると、時間の推移に伴って、上昇気流の接近や、下落時期の到来が、何れもいち早く読み取れる。早期投資や、早期撤退に対し、大きな役割が果たせる。他方ご自身が投資マーケットが、ベアに転じた場合、世界の情勢や、為替動向を参考しながら、いち早く外国の投資信託や、ETFに乗換えても、有効な手法だと思う。故に本サイトの市場分析は、先進7ヶ国を始め、BRIC’sなどを中心に、計27個の株式市場、2種類の商品先物、7種類の為替レートに対し、定期的な確認作業を行っている。


市場の配列について

 1 米国: ダウ工業30種、S&P500、ナスダック、WORLD INDEX、ダウ輸送業20種指數、米国バイオ指数
 2 その他の先進6ヶ国:  英国 FT100、ドイツ DAX、フランス CAC40、カナダトロントの総合指数、イタリアFTSE MIB指數、日経225、日本TOPIX、東証2部、マザーズ市場
 3 BRIC’S等: 上海A株、上海B株、深センA株、深センB株、ハンセン指數、H株、レッドチップ、台湾加権指數、インドSENSEX、ロシアRTS、ベトナムVN INDEX、ブラジル ボペスパ指數
 4 商品先物: WTI原油価格(CMX 期近)、CRB 商品先物指數、金(CMX 期近)
 5 為替レート: 米国の実効為替、ユーロ・米ドル、米ドル・人民元、英£・米ドル、米ドル・日本円、米ドル・スイスフラン、米ドル・カナダドル、豪ドル・米ドル(備考:為替が米ドルを基軸にした為、一部グラフが逆チャートに設定したので、留意しておきたい)。

モメンタム研究の歴史

テクニカル分析を最初に提唱したのは、チャールズ H.ダウ氏(1851~1902)である。今のNYダウ工業30種や、日経225などの指数は、ほとんどダウ理論に基づいたものである。ダウ氏の持論は「株式市場は不規則な動きではなく、海の様子に似た一定の法則がある。長期的な動き(潮の干満)、中期的な動き目先のアヤがあり、……投資家にとって、最も重要なのはマーケットの長期的な方向である。ダウ氏に続く、大きな前進と見られたのは、R.N.エリオット氏(1871~1948)である。エリオット氏によると「過去80年間に亘り、観察した結果は、株価は連続した五つの波動によって上昇する。「上昇5波動」が完了すると、次に「3波動」a、b、cの反動が起きる」。分かりやすくため、両氏の理論を一つのグラフで表すと、下記のように青線がダウ氏の長期的な方向線であり、赤線がエリオットの波動論である。本サイトのモメンタム分析は、百年前にダウ氏に指摘された長期的な方向線を探るものである。

モメンタム分析の重要なポイント

  1. 最も理想な買いタイミングは、モメンタムが下から上へ、ゼロラインを突破した時である(抽象図で言うと株価:8円)。
  2. 最も理想的な売りタイミングは、モメンタムが上から下へゼロラインを割り込んだ時である(抽象図で言うと、7400倍の利益が得られる)(笑)
  3. モメンタムがプラスなら、上昇トレンドが持続。モメンタムがマイナスなら、下落トレンドが持続と判断される。
  4. 株価が上昇しているのに、モメンタムが右肩下がりにしている時期は、「逆行現象」と呼ばれる。上昇速度の減少により、警戒ゾーンになる(抽象図で言うとC区である)
  5. モメンタムがゼロラインに接近し、割り込まず、急騰した場合、調整が終了し、一段高と示唆している。
  6. モメンタムが上からゼロラインに接近するほど、「リスク」が高まり、ゼロラインを割り込むと、天井が確定される。(下落相場ならその逆である)