数字の天平

解り易くする為、取引の価格を付け加えると、下記のように読み取れる。

1-a)『取引価格』

1-b『リターンの倍率』

A区=(74-10)÷10=6.4倍
B区=(10270-74)÷74=138倍
C区=(74155-10270)÷10270=6.2倍
B区÷C区=138倍÷6.2倍=22倍.
錯覚により最も重要なところを見落としがちになる。


2)百万円資金の『取引利益』

取引総利益=A+B+C=640+13778+622=15040(1億5千40万円)
A区は4.3%(=640÷15040×100%)。
B区は91.6%(=13778÷15040×100%)。
C区は4.1%(=620÷15040×100%)。
上記の割合からみると、B区が魚の真中で、A区とC区が魚の頭と尻と言える。

3)各時期の特徴

A区の投資利益は【懸念の中で育ち】。
B区の投資利益は【楽観の中で成熟】、一攫千金とも言える。
C区の投資利益は【幸福の中で消える】、甚大なリスクが待ち伏せている【赤信号】


事実として
子供の目が鋭く、驚愕的なものだ!


4)誤った原因『値幅に目が惹かれた』

変動率を付け加えると、誤った原因が突き止められる。

5)変化率の重要性(上図)

  • B区:毎日平均上昇率は2.5%である(最高が3%・最低が2%)。
  • C区:毎日平均上昇率は1.0%である(最高が2%・最低が0%) (A区が同様
    両者を比較すると、相場の良し悪しが値幅ではなく、上昇率に注目にすべきではなかろうか。

同じ投資金額で、異なる時期の投資によって、収益の倍率が大きく離れるものである。

  1. 前期(A区)と後期(C)の利益率は4.3%と4.1%である。
  2. 中期(B区)の方は、同じ時間で、91.6%の利益が得られる。
  3. B区の利益はC区の22倍になる(=1億3778万円÷622万円)。
  4. B区の上昇幅は目立たず、見落としやすい。
  5. C区の値幅が急騰と出来高も急増した。この時期には上昇率の低化が,急騰したような値幅に圧倒された。値幅のみ目が惹かれると、得られた利益が僅か4%で、だが抱えたリスクは、死の淵に呑まれる者も有り得るのではなかろうか

算数の角度から見ると、市場の上昇率=上昇幅÷市場価格×100%である。分子としては、特定した日、週、月、または年間の値幅に限られている。しかし分母の市場価格は、累積的なものである。この数字は10年、20年、50年、または100年を超えたものにも当てはまる(例えNYダウの価格)。従って市場の上昇に伴って、コスト(分母)の増加により、上昇率は必然的に大幅な低下になる。天井に接近すればするほど上昇率が減少し、モメンタムは、ゼロラインへ低下し、一旦ゼロラインを割り込むと、相場が崩れやすい。

6)抽象図の役割

  1. 抽象概念図から教えて貰うことは、約五年間、買手としての黄金時期は、僅か200日である。B区で参入した場合、1/6(=200÷1200)の時間で、9割以上の利益が得られる。他方2/6の時期が5%未満の利益しかいない、更に3/6の時期には資金が塩付けになってしまう。俗語で言うと一晩で大臣、一晩で乞食になる人も、そのような現象と言われている。
  2. 同理論から見ると、下落相場の時期に、反対側のB”区で(下落率高いところ)、空売りを狙うと、相応的な報酬が得られると思う。
  3. 一般論で言うと、ゼロラインは、「ブル・ベア」の境目になる。しかし大相場の前兆として、モメンタムの乖離率の絶対値が、1以上にならないと、大相場には見込めないものである。

故にモメンタム分析で、乖離率を着目すれば、相場の強弱や、天寿を全う時期が読み取れる。

7)何故子供の知恵が抜群だったのか?

子供の頃は誰でも得る時期があった。その頃は、値幅の概念がなく、速度の概念は、日常の生活から得られた。しかし成長に従って、金銭のやり取りにより、値幅に目が惹かれ、上昇速度の概念が徐々に薄くなり、結局相場が崩れるようになっても、気づいていない。リスク管理の中枢神経が完全に麻痺し、言わば鹿を追うと、山にぶつかった。このような現象は数多くのベテラン証券マンや、投資家から確認されている。1998年、米国のヘッジファンドLong Capitalが、このような典型的な実例である。同社の2人の主役は、ノーベル賞の受賞者であり、知名度が高く、名誉と信用も一流であった。資金運用のレバレッジが25倍で、運用資金がピークの時期に1300億米ドルにも達した。 しかし、最終的には世界のトップシンクタンクとして、史上最大の破綻を記録した。

8)モデル図の設定について

理論上から考えると、株式市場の変化は、人間の行動であり、一定の自然法則が含まれている。鳥の飛行曲線で考えれば、下記のように4つの法則が考えられる。
(1)離陸した時が「上昇加速」、 
(2)ピークに到達前が「上昇減速」(着陸の準備/減速しないと上昇が止まらない);
(3)ピーク・アウト後が「加速落下」、
(4)底入れになると「下落減速」(衝突防止/物理的で考えれば、これは鳥類の本能)。
上記4つの自然法則を、300日ずつ繋がると、「抽象概念図」が出来上がる。

抽象図から見ると、このサイクルは(大底から大底まで)、1200営業日で(約5年間)、モメンタムとゼロラインと交差したのは、僅か3回で、

1)ビッグ・ボトム、(2)ビッグ・トップ、(3)次の夜明け。